« 読書・・・新美南吉 | トップページ | 壁面飾り・・節分 »

2014年1月26日 (日)

読書・・・新美南吉 その2

Img002_441x640

「狐」のお話しの続きです。

もしも文六が狐になってしまったら、もう家に置いとくわけにはいかない。とお母さんにいわれた文六です・・・

「そしたらどこへ行く?」

「からすね山の方には狐が居るからそっちへ行くさ」

文六は父母のことも気になります。父母はどうするかって・・・お母さんはこう云いました。

「かあいい文六が狐になってしまったら、この世に楽しみが無くなってしまうから人間を辞めて狐になることにきめますよ」

「2人で晩げに新しい下駄を買ってきて、一緒に狐になって、文六ちゃんの狐を連れて一緒に山へゆきましょう」

「からすね山に猟師はいない?」

「鉄砲撃ちかい?  いるかも知れんね」

「猟師が撃ってきたら、母ちゃんどうしよう?」

「深い洞穴に入って小さくなっていればみつからないよ」

「餌をひろいに出たとき犬にみつかったらどうしよう」

          中略

父ちゃん母ちゃんが両方から手をひっぱって逃げても、犬がすぐうしろにきたらどうする? と訊かれ、お母さんはちょっとだまって・・・

それから、ゆっくり言いました。しんから真面目な声です。

「そしたら、母ちゃんは、びっこをひいてゆっくりいきましょう」

「犬は母ちゃんにかみつくでしょう、そのうちに猟師がきて、母ちゃんをしばってゆくでしょう。そのあいだに、坊やとお父ちゃんは逃げてしまうのだよ」

     ・・・

    ・・・ 

「いやだったら、母ちゃん。母ちゃんがいなくなるじゃないか」

「でもそうするよりしようがないよ、母ちゃんは、びっこをひきひきゆっくりゆっくり・・・」

お母さんの胸にしがみついた文六、涙がどっと流れてきました。

お母さんも、ねまきのそででこっそり目のふちをふきました。

                            おしまい

      ~~~~~~~~~~~~~~

あらすじを記しましたが、ここには書けなかった情景描写がとても素晴らしくて、まるでその様子が目に見えるようです。

新美南吉の名前が私の頭にインプットされたのは、そんなに昔じゃなくて、

美智子皇后さまが子供の頃に読まれて印象に残っているお話しとして、

話しをされたなかに新美南吉の「でんでんむしの かなしみ」があったと記憶しています。この本にそれが載っていました。

30歳を目前にして逝去したそうですが、なんて心の優しい青年だったことかと、幾つかのお話しを読んだだけですが・・・そのどれもに、優しさと、悲しみが溢れているとかんじました。

« 読書・・・新美南吉 | トップページ | 壁面飾り・・節分 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

「手袋を買いに」や「ごんぎつね」は子供の教科書に載っていました。
昔の教科書にはこんな美しい童話は載りませんでしたね。
夭逝の作家ですが、こんなにみんなに作品を愛されているって
幸せな人だと思います。

新見南吉の童話集懐かしいです。
20代後半のころ童話集を一巻から6巻まで買ってずっと捨てないで持っていたんですよ
とも子さんのブログで私も読み始めています。
手袋を買いには絵本で、ゴンギツネは息子たちと映画を見て違う角度から感激した思い出があります。

震災で半分以上の本を被災地に寄付したり処分したりしましたがこの本はおいててよかったと思っています。
身の回りをスリムにするには処分するか寄付する運命かなと考えています。(被災地には遅すぎるような感がありますが、)

bookちゃぐまま様
新美南吉が生きた時代、若くして亡くなりながらも名を残した方が多くいますね。
今の人達とは随分ちがっていたんですね~
人生何が幸せか、それぞれ違うと思いますが、もっと長く生きて欲しかった!

bookさっこ様
そうですか!  1~6巻まであるのですね。
お話しの一つずつに妙に感心したり、心を揺さぶられたりしながら
ゆっくりと楽しんでいます。
本はなかなか処分できませんね。

心優しい作風は作者自身の生い立ちと関係あるのでしょうか
忘れて欠けていた心が再び蘇るような物語ですね

tomoko様のブログ拝見してのわが家の昨夜の会話の一部です

bookおばさまへ
おばさま宅の会話に入れて頂いたような嬉しい感覚!
我が子を助けるためには、自分の命さえ差しだせるのが親というもの。
でも現実の社会にはそれとは逆の行動をとる親も多く、心が痛みます。
大切なものは何なのかを問われているようです。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 読書・・・新美南吉 | トップページ | 壁面飾り・・節分 »