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2013年2月20日 (水)

ヒキザクラの花 ・ なめとこ山の熊より

チョコット風邪をひき、昨日は一歩も外へ出ることなくボ~ォとして過ごした。

で、テレビは何かないかなあ~?  とテレビ欄をみる。

BSでタイマグラばあちゃん再というのがあり、

 ー岩手素朴で豊かな生活15年間の命の記録ー とあるのが目に入った。

早池峰山に開墾に入り・・・今や二人だけになった向田さん夫婦

全てが生きていくための仕事で日々が流れている感じだ。

畑でとれた大豆をつかって

   大量の味噌をつくる。  豆腐もつくる

じゃが芋のくず芋も無駄にせず、皮をむいて谷の水で晒し毒を抜く(ばあちゃんが云う)

これを軒に干す。 粉にしてじゃが芋団子汁にする。

何年前からか電気がきたけれど、夜は6時ころにはもう寝るから、面白い番組も無いしで、ほとんどは以前と変わらずラジオを聞きながら手仕事(編み物)をしている

じいさんは90歳を超え、薪割りなどしているが、見たところばあさんの働きでこの二人の暮らしが回っているようだ。

隣りに若い男性が住みはじめた。山小屋を作りたいとかいって。

この人、いつの間にか結婚し、夜中に嫁さんが産気づき、 ばあちゃんのところへ電話を借りに走ったら、ばあちゃんは鉢巻をして飛んできた。嫁さんの手を握って『頑張れ! 頑張れ!』って、力づけてくれたそうな。

雪が積もっている

じいちゃんは、薪を沢山こさえて、隣りの空き家の軒下にも積んであるが、

ばあちゃんには、『この薪がなくなったら村へ下りたほうがええ』と伝えたらしい。

じいちゃんは死んでしまったが、ばあちゃんは村へ下りるでもなく、以前と同じように

味噌をつくっている。(正確には味噌玉だが)唯違ったのは、傍らに教えてもらいながら手伝っているお隣の男性がいたこと。

味噌玉に藁を十文字にかけ、玉の上に残った4筋の藁をなって縄にしながら

『この縄がなえなくなったら 死ぬんだって!』と明るく話すばあちゃん。

味噌玉を小屋の梁に干し終えて・・・ ばあちゃんは心臓発作をおこし、

救急車で町の病院へ運ばれたんだ。

お盆の時、ばあちゃんは娘さんに連れられて、4カ月ぶりに家に戻って来た。

両手に杖をつき、いざりながら仏壇の前に移動して、じいちゃんに手をあわす。

娘が花を供える。

病院で世話になっている人への土産にと、味噌を袋に詰め、それを持って

町に下りて行った。

 じいちゃんが亡くなった後も一人で畑にでて草取りをしていたばあちゃん。

この地へ開墾に入って直ぐの頃、防風林として植えた苗木が立派に育っている。

ばあちゃんはこの木を1本ずつ切って、薪にする事に決めたんだと。

猫車(小輪車)一杯に乗せて運ぶ。 重いだろう・・・元気のよさに驚く。

一日中、働き通し・・・これと言って楽しい事も無いというが、実に朗らかでよく笑う。

畑を耕す手を休めて、こぶしの花を眺めている。

この辺りでは こぶしをヒキザクラと云うらしい。

ヒキザクラの花が沢山咲いた年は豊作になると云われるそうだ。

雄大な山肌の手前にヒキザクラが白っぽい花をつけると、あたかも

山の谷筋に雪があるかのように見える。

  ここで私は あっ! と思い当たったことがある。

何年か前に、読み聞かせの教室に通っていた。教材として与えられた物に

宮沢賢治の「なめとこ山の熊」というのがあった。

 この部分だけ紹介します 

  ー前略ー

ある時、熊とり名人の小十郎が山小屋の下に湧水があったのを思い出して

少し山を降りかけたら

母親とやっと1歳になるかならないような子熊と二疋が、人が額に手を当てて遠くを眺めるといった風に、淡い6日の月光の中を向こうの谷をしげしげ見つめているのにあった。

小十郎はまるでその二疋の熊の体から後光が射すように思えて、まるで釘付けになったように立ち止まってそっちを見つめていた。 すると小熊が甘えるように云ったのだ。

「どうしても雪だよ、おっかさん、谷のこっち側だけしろくなっているんだもの。」

母熊 「雪でないよ、あすこへだけ降る筈がないんだもの。」

子熊 「だから溶けないで残ったのでしょう。」

        ・  ・ ・・・ 中略

子熊 「雪でなけぁ霜だねえ。きっとそうだ。」

        ・  ・ ・・・ 中略

母熊 「おかあさまはわかったよ、あれはねえ、ひきざくらの花

       ・   ・   ・  ・ ・ ・ ・・・・ 中略

小十郎はなぜかもう胸がいっぱいになってもう一ぺん向こうの谷の白い雪のような花と

余念なく月光をあびて立っている母子の熊をちらっと見てそれから音をたてないようにこっそりこっそり戻り始めた。

風があっちへ行くな行くなと思いながらそろそろと小十郎は後退りした。

くろもじの木の匂いが月のあかりといっしょにすうっとさした。 ー後略ー

これをテキストとして読んでいた時には、ヒキザクラの花って知らないなあ~っと、

それ以上に調べてみようという気持ちが全くなかったのに、

偶然、にも、私の胸にチョコット刺さった棘のような言葉の謎が解け、

すっきりとした気持ちの良さを味わっている。

なめとこ山の熊、は何故か心に残る作品だった。

宮沢賢治の自然を愛する気持ちが溢れているからでしょうか?

そして、テレビに映し出されたばあちゃんとじいちゃんの素朴な暮らしぶり・・・

これこそが本来の暮らす・・・ということなのかと思うんですが、

今となってはこの時代に戻ることはできないでしょう。でも何が大事なことなのかと

いつも自分の胸に問うてみる姿勢を忘れないでいたいと感じる番組だった。

最後の方でばあちゃんが話していました。

じいちゃんは亡くなる時まで頭はしっかりしていた・・・

朝 ションベンたれるのも一人でたれた・・・

それより3日位前に ウンコも一人でたれて、ウンコはこれで最後にするって・・・

  こんな死に方もあるんですね~ これこそが自然死なのでしょうかねえ~

西大寺の裸祭り(会陽)も終り、春がそこまで来ています。

庭仕事、畑仕事が待っています。 あのタイマグラばあちゃんの

真似はできませんが、あの姿を思い出しながら頑張りたいものです。

 

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コメント

こんばんは
偶然ですね、私も昨日の午後から風邪気味でした。
今日になっても胃の調子が悪くて長椅子に横になりテレビを見ながら半分は眠っていたようですが、過ごしました。
近くの医院で薬をもらいだいぶ良くなったのですが、あわなかったようで足に湿疹が出てきたので服用を控えました。
もう体調は大丈夫ですか、

若いうちから農作業など、自然の中で体を動かしながら過ごしてきた方の生き方は私には真似のできないたくましさ、強さがありますね。

なめとこ山とヒキザクラ、宮沢賢治のことが話題になるとき、この花と山のことが頭をよぎりそうです。

tvさっこ様
風邪は如何ですか? ひどくなってなければ良いですが・・・
私の方は、まだ咳が残っています。
いつもコメントをありがとうございます。さっこさんの優しいコメントでとても力をもらっています。
こぶしの花のことをヒキザクラの花と云うって、初めて知りました。
点が線で繋がったようで、こんな小さなことがとても嬉しく思えます。

tomoko様 おはようございますhappy01
 ご無沙汰しておりました。
御身体の調子はいかがですか?
季節の変わり目、おまけに花粉が…PM2.5が…なんか身体の調子が良くありませんねdown

“タイマグラばあちゃん”自然に生きて自然に死ぬ…の記事を興味深く読ませていただきました。
今、なかなかまねの出来ない生き方ですね。

コブシの事をヒキザクラと呼ぶのも初めて知りました。
コブシの花は可憐で可愛いくて、私も好きな花ですhappy01

tvさな様
お越しいただき、コメントありがとうございます。
季節の変わり目・・・そう云えば昨年も今頃、
同じような咳で声が出なくなったなあ~っと、思い出しますsweat02
このテレビのおばあさんやお爺さんの様な暮らしはとても真似できるものではありませんが、
便利になった世の中で、自分の楽しみばかり考えて大事な事を忘れて
しまっているように感じました。
コブシの花は本当に可憐で、私も好きですhappy01

風邪がすっかり回復されていますように・・
いつもブログに刺激をいただいています。なめとこ山の熊は大好きで、特に最後のほうが印象深く読み込んでいたためか、ともこさんにヒキザクラの所を引用して頂くまで思い出せず・・・何だかさみしく、情けなく思いました。タイナグラばあちゃんの話、すごいですね、でもそれには及ばないにしてもまだまだ地方の暮らしの中に残っているような気もします。そしていつか消えてしまうのでしょうか。

tomoko様
やっと時間が出来ました。
PC開いて一番に飛んできました。
わあ~感動です。開拓地【タイマグラ】で
人間らしく生きたお二人の姿こそ今私たちが
忘れている一番大切なものだと思います。
コブシの花の咲き具合で豊作・凶作を占う
自然と共に生きる様子がわかります。
tomoko様のブログから、私は
物はなくとも、様々な生命と共に生きる喜びを
教えられました。
素晴らしいsign01感動で涙がにじんできました。

bookayako様
こんにちは!  【なめとこ山の熊】私にとっても忘れられない作品です。
生きていくために熊を撃つけれど、熊の母子に対する優しさあふれる描写が好きです。勿論、最後のほうも心にズ~ンと響きますね!

不便極まりない山里の暮らしですけれど、大きな喜びが隠されているように感じました。あの暮らしも一旦途絶えてしまうと、もう二度と元には戻らないんだろうな~ と
生活の知恵までもが消えてしまうようで胸がつぶれそうでした。

tvおばさま、こんにちは!  
この番組、映像が古い感じでしたが、15年に渡って取材されたとかで、大事なものを残して下さったと感動しました。
生きることの厳しさ、喜び、自然との共生、、、厳しい暮らしであることは容易に理解できますがその中に、なんと豊かなものが隠されていることでしょう!
伝統は一度途絶えてしまうと、二度と同じ様には戻らないですね。

おばさまの丁寧な暮らしを大事にする精神、お嫁ちゃんが受け継いでくれるといいですね。

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